この記事では、Pythonの名前付きタプルの定義の方法を使い方を解説します。
名前付きタプルは、名前からもインデックスからも要素にアクセスできるタプルです。通常のタプルが利用される場所ならどこでも利用できます。
それでは、名前付きタプルの使い方を見ていきましょう!
名前付きタプルを定義するには collections
モジュール の namedtuple()
関数 を使います。
namedtuple()
関数 は、指定したフィールド名から要素にアクセスできる tuple
の新しいサブクラスを生成することができます。
import collections
collections.namedtuple(typename, field_names, *, rename=False, defaults=None, module=None)
namedtuple()
関数に定義されている引数は以下のとおりです。
typename | 新しく生成する名前付きタプルのクラス名。 |
---|---|
field_names | 属性名。文字列のシーケンス、またはスラッシュ(/)、カンマ(,)、空白で属性名を区切った文字列を指定します。 |
rename | Trueならfiled_namesに不適切な名前があった場合に自動的に位置を示す名前に置き換えられます。 |
defaults | デフォルト値を指定できる。 |
module | 名前付きタプルの __module__ 属性は、指定された値に設定されます。 |
サンプル
試しに名前付きタプルを生成し、いろんな方法で出力してみます。
from collections import namedtuple
# Member という名前で名前付きタプルのクラスを新しく生成
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
# インスタンス化
m = Member(1, '山田太郎', 20)
# インスタンスを出力
print(m)
# 属性名で出力
print(m.id)
print(m.name)
print(m.age)
# for文で出力
for var in m:
print(var)
# インデックスで出力
print(m[0])
print(m[1])
print(m[2])
実行結果
# インスタンスを出力
Member(id=1, name='山田太郎', age=20)
# 属性名で出力
1
山田太郎
20
# for文で出力
1
山田太郎
20
# インデックスで出力
1
山田太郎
20
名前付きタプルを使うことで、通常のタプルの機能に加えて属性名から要素にアクセスすることができました。
from collections import namedtuple
# Member という名前で名前付きタプルのクラスを新しく生成
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
# インスタンス化
m = Member(1, '山田太郎', 20)
# 値を変更(エラー)
m.id = 10
実行結果
Traceback (most recent call last):
File "/Users/user/Desktop/Python/main.py", line 10, in
m.id = 10
AttributeError: can't set attribute
rename引数をTrueに指定することで属性名が不適切な場合に自動的に位置を示す名前に置き換えられます。予約語や重複した名前が不適切な属性名として扱われます。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('if', 'def', 'name', 'name'), rename=True)
print(Member(1, 2, 3, 4))
実行結果
Member(_0=1, _1=2, name=3, _3=4)
defaults引数にはデフォルト値のイテラブルを指定できます。デフォルト値は右の変数から適用されます。
from collections import namedtuple
# デフォルト値を3つ指定
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'), defaults=[-1, '名無しの権兵衛', -1])
m = Member()
print(m)
# デフォルト値を2つ指定
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'), defaults=['名無しの権兵衛', -1])
m = Member(1)
print(m)
実行結果
Member(id=-1, name='名無しの権兵衛', age=-1)
Member(id=1, name='名無しの権兵衛', age=-1)
名前付きタプルには、tuple
から継承したメソッドの他に以下のようなメソッドや属性が追加されています。
namedtuple()
関数で新しく生成したクラスのインスタンスを生成するクラスメソッド。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
m = Member._make((1, '山田太郎', 20))
print(m)
実行結果
Member(id=1, name='山田太郎', age=20)
map()
関数なんかと組み合わせて使うと便利。
from collections import namedtuple
# Member という名前で名前付きタプルのクラスを新しく生成
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
# メンバーのデータ
members = [[1, '山田太郎', 20], [2, '田中花子', 12], [3, '名無しの権兵衛', 37]]
# for文で回す際に名前付きタプルを使う
for member in map(Member._make, members):
print(member.id, member.name, member.age)
実行結果
1 山田太郎 20
2 田中花子 12
3 名無しの権兵衛 37
属性名と対応した値を辞書として返します。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
m = Member(1, '山田太郎', 20)
print(m._asdict())
実行結果
{'id': 1, 'name': '山田太郎', 'age': 20}
指定した要素の値を書き換えた名前付きタプルを返す。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
m = Member(1, '山田太郎', 20)
print(m)
r_m = m._replace(name='田中花子')
print(r_m)
実行結果
Member(id=1, name='山田太郎', age=20)
Member(id=1, name='田中花子', age=20)
フィールド名を格納したタプル。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'))
m = Member(1, '山田太郎', 20)
print(m._fields)
実行結果
('id', 'name', 'age')
フィールド名に対応したデフォルト値を格納した辞書。
from collections import namedtuple
Member = namedtuple('Member', ('id', 'name', 'age'), defaults=[-1, '名無しの権兵衛', -1])
print(Member._field_defaults)
実行結果
{'id': -1, 'name': '名無しの権兵衛', 'age': -1}
この記事では、名前付きタプルの使い方を解説しました。
collections
モジュールのnamedtuple()
関数を使うことで簡単に名前付きタプルを生成することができました。
名前付きタプルは、属性名から要素を取得することができるので構造体のような使い方ができます。イメージとしては更新できない構造体のような感じです。
それでは今回の内容はここまでです。ではまたどこかで〜( ・∀・)ノ